水彩画の風景画の描き方|初心者向け手順とコツを徹底解説

水彩画で風景画を描いてみたいけど、何から手をつけたらいいか分からない。
そんなふうに思っていませんか。

風景画には、構図の決め方や下絵の描き方、色の塗り方など、順番に押さえておくとぐっと描きやすくなるコツがあります。

玄武くん
律

律です。水彩画を描いています♪


私は美大を出ていません。
長い間、水彩画を描いてきたけれど、それは水彩絵の具が、子供にとって身近な画材であったことが一番の要因です。

そんな私でも描ける水彩画ですから、あなたにも描けます。本当です!

この記事では、初めての方でも迷わず風景画を描き上げられるように、道具の選び方から構図の考え方、空の塗り方、にじみやぼかしを使った表現方法まで、順番にやさしく解説していきます。
最後まで読めば、今日からさっそく自分の風景画に取り組んでもらえるはずです。

水彩画で風景画を描く前に知っておきたい基本

風景画を描き始める前に、道具の準備と、何を描くか(モチーフ選び)という2つの土台を整えておきましょう。
この章では、初心者の方が最初につまずきやすいポイントを先に解説していきます。

風景画に必要な道具と画材選び

水彩画の風景画を描くために最低限そろえておきたい道具は、水彩絵の具、筆、水彩紙、パレット、水を入れる容器の5つです。

アクリル絵の具と違って水彩絵の具は乾いても水で溶かせますが、くぼみが深いタイプのパレットだと色が混ざりやすく、初心者の方には少し扱いにくいかもしれません。仕切りのあるプラスチックのパレットの方が、管理はしやすくなります。

また、紙製の使い捨てタイプ(ペーパーパレット)もおすすめです。

水彩紙は、厚みと表面のざらつき具合で選び方が変わります。
薄い紙は水を吸うとすぐに波打ってしまうため、風景画のように広い面を塗る作業にはあまり向きません。

表面に少しざらつきのある紙で、厚さ300g/㎡以上のものを選ぶと、波打ちを気にせず塗り重ねができます。

IMG_5477.jpeg
水彩紙の厚みは「g/㎡(グラムパーへいべい)」という単位で表記されます。数字が大きいほど紙が厚く、水を含んでも波打ちにくくなります。

薄手の画用紙やスケッチブックはなみなみと波打って、元に戻りません。
せっかく上手くかけたのに紙がなみなみで••• と後悔しないように、紙選びは慎重になりましょう!

描く風景(モチーフ)の選び方

初めて風景画を描くときは、細かいものがたくさん入っていない、シンプルな場所を選ぶのがポイントです。
建物がぎっしり並ぶ街並みや、木の枝が細かく重なり合った森の奥などは、遠近感や重なりの表現が難しく、初心者の方には少しハードルが高くなってしまいます。

おすすめは、空・水面・山や木立といった、大きなかたまりで見える風景です。
空と地平線だけのシンプルな景色でも、光の表現や色のグラデーションを練習するにはじゅうぶんな題材になります。

写真を見ながら描く場合は、明るいところと暗いところの差がはっきりした一枚を選ぶと、下絵の段階で構図を決めやすくなります。

風景画を完成させるまでの全体の流れ

風景画は「構図を決める」「下絵を描く」「色を塗る」という3つのステップで完成します。
それぞれの段階でやることを具体的にイメージしておくと、途中で手が止まりにくくなりますよ。

Step1.構図を決める

構図というのは、画面の中に何をどう配置するかという、いわば絵の設計図のようなものです。
まずは主役にするものを1つ決めて、それを画面のどのあたりに置くかをざっくり決めていきましょう。

主役を画面のど真ん中に置くと単調な印象になりやすいので、中心から少しずらした位置に置くと、自然な奥行きが生まれます。

Step2.下絵を描く

構図が決まったら、鉛筆で下絵を描いていきます。
このとき、細かいところまで描き込む必要はありません。

色を塗るときの目安になる程度の、ざっくりとした輪郭線でじゅうぶんです。

下絵を描き込みすぎると、色を塗ったときに鉛筆の線が透けて見えて、絵全体が硬い印象になってしまいます。
2Bなど柔らかめの鉛筆で薄く線を引き、消しゴムで軽く整えるくらいにしておきましょう。

Step3.色を塗る

色を塗る順番は、明るい色・広い面積のところから始めて、だんだん暗い色・細かいところへ進んでいくのが基本です。
具体的には、空や背景から塗り始めて、真ん中あたりの景色、そして手前にある主役の順に進めていきます。

風景画・彩色の基本手順
1. 空や背景など、広く明るい部分から塗る
2. 中景(山や建物、木立など)を塗る
3. 手前にある主役のモチーフを塗る
4. 影や暗い部分を重ねて立体感を出す

初心者でも失敗しない構図の考え方

構図は絵の仕上がりを大きく左右する部分ですが、いくつかの基本の考え方を知っておくだけで、初心者の方でも安定した構図を作れるようになります。
ここでは、風景画の構図を決めるうえで知っておきたい考え方を整理します。

構図を決める3つの要素

風景画の構図は、主に「主役」「手前・真ん中・奥(前景・中景・遠景)」「画面の比率」の3つで成り立っています。
主役は画面の中で一番見せたいもの、前景・中景・遠景はそれぞれ手前・真ん中・奥にあるものを指します。

画面の比率については、空を多く見せるか、地面や水面を多く見せるかで、絵の印象がずいぶん変わります。
空を広く取ると開放的でやわらかい印象に、地面を広く取ると力強く落ち着いた印象になります。

アイレベルと遠近感の意識

アイレベルというのは、描く人の目線の高さのことです。
アイレベルより上にあるものは見上げるように、下にあるものは見下ろすように描くと、絵に奥行きが生まれます。

遠近感の表現とは、遠くにあるものほど小さく、近くにあるものほど大きく描くという考え方です。
道や川、並木道のように奥に続いていくものを描くときは、線が奥の一点に集まっていくイメージを意識すると、自然な奥行きが表現できます。

アイレベルと遠近感の考え方は、風景画に限らずどんな絵にも役立つ、奥行き表現の基本になります。慣れないうちは、実際の風景写真に定規で線を引いて確認してみると分かりやすいですよ。

水彩画の空・雲の塗り方

空は風景画の中でも広い面積を占めていて、絵全体の印象を左右する大事な部分です。
この章では、水彩絵の具ならではのグラデーション表現を使った空の塗り方をご紹介します。

空を塗るときは、紙全体をあらかじめ水で湿らせてから絵の具をのせる方法を使うと、境界線のないなめらかなグラデーションが作れます。
筆に水をたっぷり含ませた状態で、画面の上のほうから水色を、下にいくにつれて白(紙の色)に近づくように塗り進めていきます。

雲を描きたいときは、空を塗ったあと、絵の具が完全に乾く前にティッシュや乾いた筆で色をそっと拭き取ると、白く抜けた雲のかたちが自然に表現できます。
色が完全に乾いてから拭き取ろうとすると紙の表面を傷めてしまうので、タイミングを見極めることが大切です。

風景だけでなく、水彩画を描く時は薄い色から順に色を重ねていくのが基本です。

ですが境界のぼんやりとした雲や木の葉の重なりのような柔らかいものを描く場合、私はあえて濃い色から塗っていくことがあります。

雲の光の当たった白い部分を残していくことで、案外、形のない形を把握しやすいように思います。

にじみ・ぼかしを使った水彩表現のテクニック

水彩画ならではの表現として、にじみとぼかしがあります。
この2つを使いこなせるようになると、絵にやわらかさや立体感をプラスできるようになります。

ウェットインウェット技法

ウェットインウェットというのは、紙や絵の具が乾く前に別の色を重ねることで、色同士が自然に混ざり合う塗り方のことです。
空だけでなく、木々の緑や水面の反射など、輪郭をくっきりさせたくない部分に幅広く使えます。

色を重ねるタイミングが早すぎると色同士が完全に混ざってしまい、逆に遅すぎると境界線がくっきり出てしまいます。
紙の表面が「濡れてはいるけれど、絵の具を置いてもすぐには広がらない」くらいの、半分乾いた状態を狙うのがポイントです。

グリザイユ画法で明暗を先につくる

グリザイユ画法というのは、最初に灰色や茶色などの単色で明るい部分・暗い部分(陰影)を描いておいて、そのあとから本来の色を重ねていく描き方です。
色を塗る前に立体感の土台ができあがるので、色数が多い風景画でも明暗のバランスが崩れにくくなります。

グリザイユ画法は油絵の伝統的な技法として知られていますが、水彩画でも下塗りとして応用することで、初心者でも陰影のコントロールがしやすくなります。

濃くなりすぎたり、逆に薄すぎたり、最初はきっと上手くいかない! とがっかりすることもあるでしょう。
でも、どんなものでも回数を重ねていけば上手くなっていくものです。

あまり気にせず最後まで描き上げることを繰り返せば、あなたの頭の中にある素晴らしい風景を、画面に書き出すことができるようになりますよ。

風景画をワンランク上げる彩色のポイント

基本の手順を押さえたら、次は絵全体の仕上がりをもっとよくするための塗り方のコツを取り入れていきましょう。
ここでは、初心者から一歩進むために意識してみたい3つのポイントをご紹介します。

1つ目は、影の色に単純な黒や灰色を使わないことです。
影の部分にも周りの色を映し込むようなイメージで、青や紫を混ぜてあげると、絵に深みが生まれます。

2つ目は、遠くにあるものほど、色をくすませて、明暗の差も控えめに描くことです。
これを意識するだけで、奥行きのある風景画に仕上がります。

3つ目は、紙の白を活かすことです。
水彩画は絵の具を足すことはできても、白を足すことは基本的にできません。

光が当たって一番明るく見える部分は、あらかじめ塗らずに残しておく必要があります。

彩色で意識したい3つのポイント
・影に黒を使わず、青や紫を混ぜて深みを出す
・遠くのものは色をくすませて、明暗の差も控えめにする
・光が当たる最も明るい部分は紙の白を塗り残す

初心者が風景画でつまずきやすい失敗と対処法

風景画を描く過程で、初心者の方がよくつまずくポイントがいくつかあります。
あらかじめ知っておくことで、同じ失敗を避けやすくなります。

色を塗り重ねるとき、前の色が完全に乾く前に重ねてしまうと、思わぬにじみが出てしまい、絵が濁った印象になります。急いで塗り進めたい気持ちを少しこらえて、一度乾かす時間を作ってあげることが大切です。

よくある失敗の1つは、水の量をうまく調整できずに紙がふやけてしまうことです。
水を含ませすぎると紙が波打ってしまい、そのあとの色塗りがすべてやりにくくなってしまいます。

厚みのある水彩紙を使うこと、また一度にたくさんの水を含ませすぎないことが対策になります。

もう1つの失敗は、絵の具を塗り重ねすぎて色が濁ってしまうこと。
水彩絵の具は重ねれば重ねるほど暗く濁りやすいので、塗り重ねは2〜3回くらいを目安にして、それ以上暗さが欲しいときは色そのものの選び方を見直してみましょう。

上手くいかないと焦って、ついつい「余計なこと」をしがちです。
焦ってまだ乾かないうちに色を塗って変に滲ませてしまったり、重ねすぎて他の部分とのバランスが崩れたり。

焦りは禁物!
最初は慎重に•••なりすぎるのもいけないかもしれませんが、慎重に、じっくり、作品と向かい合っていきましょう♪

ペンと水彩を組み合わせた風景画の描き方

鉛筆の下絵の代わりに、ペンで輪郭線を描いてから水彩で色を塗る方法もあります。
線がはっきり残るので、イラストのような親しみやすい雰囲気の風景画に仕上がります。

ペンを使うときは、水に滲まないタイプのペン(顔料インクのもの)を選ぶことが欠かせません。
水に滲みやすいタイプのペン(染料インクのもの)で線を描くと、上から水彩絵の具を重ねたときに線がにじんでしまい、輪郭が崩れてしまいます。

線を先に描く分、構図や遠近感のミスが目立ちやすくなるという面もあります。
鉛筆で薄く下描きをしてから、その上をペンでなぞる2段階のやり方にすると、失敗を減らせます。

私は普段線画を描くときは耐水性インクを使用しますが、時々はコピックなどのペンで、下絵を完成させることもあります。

輪郭線がはっきりしていると、親しみやすいイラストになる気がします♪

ただ細いペンやコピックは、勢いよく長い線を書きたい時には線が掠れやすいので、描きたいイラストによって書き分けるようにしています。

よくある質問(FAQ)

Q. 水彩画の風景画は何から練習すればいいですか?

A. まずは空や水面など、大きな面のグラデーションを塗る練習から始めるのがおすすめです。
色を混ぜる感覚と水加減をつかんでから、木や建物などの細かい部分に挑戦すると、無理なく上達できます。

Q. 初心者はどのくらいのサイズの紙で描くとよいですか?

A. 最初はA4程度の小さめのサイズから始めると、水が乾く前に塗り終えやすく、失敗を減らせます。
慣れてきたら少しずつ大きいサイズに挑戦していきましょう。

Q. 写真を見て描いても問題ないですか?

A. 問題ありません。
写真は構図や色使いを研究するための、とても役立つ資料になります。

ただし、写真の色をそのまま真似するのではなく、印象に残った部分を強調して描くと、絵に自分らしさが生まれます。

まとめ|水彩画の風景画は手順を知れば初心者でも描ける

風景画は、構図を決めて、下絵を描いて、明るい部分から色を塗っていくという基本の手順さえ押さえれば、初心者の方でも着実に描けるようになります。
にじみやぼかしといった水彩ならではの表現も、水加減のコツさえつかめば、そんなに怖がる必要はありません。

今日ご紹介した手順を参考に、まずは1枚、シンプルな風景から描いてみてください。
描き終えた作品をあとから見返すことが、次の1枚をより良くするための一番の近道になります。

青空に流れる雲や、切らしきらした木漏れ日。岩の陰影や川の水の透明感。
自在に表現できた時の感動は計り知れません!

描いている間の葛藤や苦労もなんのその!きっと消し飛んでしまうでしょう。
その瞬間を味わうのも、絵を描くことの醍醐味です。

玄武くん
律

ぜひ風景画を描く楽しみを、描き上げる喜びを、体感してみてくださいね!

律でしたm(_ _)m